問題解決アプローチ015

講師;蒔苗昌彦

「判断の根拠」と「直感」について理解しよう!

人間が何かの判断をする時には、その判断が論理的である以上、判断の根拠(or理由)があるはずです。そして、他の人(判断をした当事者ではない人)は、判断をした本人の、判断の根拠を知りたいと欲するのが、その判断が自社の「問題」に影響を与えるものならば、当然です。

この「他者の判断の根拠を知りたい」という欲求、つまり「なぜ?」「どうして?」との問いは、言葉と概念によって思考をする知的動物である人間として、いわば本能的な理性的欲求です。その欲求が満たされない限り他者の判断には納得できず、チームワークで解決行動すべき問題への取り組みが停滞する原因となります。

また、判断の根拠を知らせないまま、問題解決のための対策を強行すると、問題解決チーム内の者たちの間や、会社内、場合によっては社外関係者やお客様が、問題解決の経緯や対策について誤解をする可能性が出てきます。

だから、問題解決の過程において、判断の根拠を、担当者はまず自らの中で明らかにしましょう。そして、いつ聞かれても根拠を述べることができるようスタンバイしましょう。

さて、以上では「判断」の根拠・理由の必要性について述べましたが、ここからは「直感」とそれが活用できる場面についても述べます。

「直感」は「判断」と異なり、それが直感であることを表明した上であれば、他者への「根拠」の提示は不要です。裏を返せば、或る物事についていったん「判断」したつもりだったが根拠が提示できない場合、それが有用だと思えばその扱いを「直感」へと変更した上で、「あくまでこれは私の直感ですが、○○だと思います」といったようにして、これから話すことが直感である旨を最初に表明した上で、直感の内容を述べても構いません。ですが、問題解決の対策を確定する段階では、対策の有効性が直感に基づくものであってはなりません。

ただし、極めて緊急の場合においては例外です。ここで言う「極めて緊急の場合」とは、数秒か数分の時間内に、最悪の事態を回避するため次の動作・行動を起こす必要がある場合です。もちろん、かなりの訓練を積んで頭脳が超高速回転できるようになっていれば、これほど短い時間でも、確かな「根拠」に基づき確かな「判断」をした上、相当早口にはなるでしょうがその内容を他者に提示できるかもしれません。しかし、私も含め多くの人には難しいでしょう。となると、極めて緊急事態の場合には、たとえ「直感」に頼っても次の動作・行動を起こさざるを得ません。

当研修で題材として扱う「問題」は、貴社において「解決行動が停滞している問題」です。つまり、数秒か数分の時間内に最悪の事態を回避するため次の動作・行動を起こす必要があるような問題ではないはずです。なぜならば自明の理となりますが、私へ当研修を依頼し受講するに至るまでの所要時間はこのように短い単位の時間ではないはず、だからです。そのため、当研修においては、瞬時の判断または直感についての訓練プログラムは実施しません。

とはいえ、諸判断それぞれに非常に長い時間を取られそうな場合、あくまでも暫定的にですが、直感を活用してでも問題解決行動を推進したほうが良い場面もあります。たとえば、問題の構成要素をブレーンストーミングで洗い出した結果、アットランダム列挙された構成要素を記したエクセル表を暫定的に整理する場面(分類や着手優先順位づけをするなど)などです。

つまり、「直感」は、瞬時に行動・動作を起こさざるを得ない緊急事態、および、次の段階に進むため暫定的でも構わないから情報を整理したい時に、活用できます。

ちなみに、或る事が「問題」だと指摘した際、その「問題」の「悪影響」を述べれば、それはその「問題」を問題として扱うべきであることの根拠を述べたことと同等です。なぜならば、「悪影響」があるゆえその事を「問題」として扱うからです。裏をかえせば、現状において具体的な「悪影響」が見当たらなければ、その事を「問題」として扱う必要はありません。


<ポイント>

・判断の根拠(or理由)を知りたいと欲するのは、当然のこと。

・この欲求が満たされないと、「問題」取り組みへのチーム行動が停滞する。

・根拠を知らせないまま、問題解決のための対策を強行すると、経緯や対策について誤解を受け、狙いとは別の方向へ向かってしまう可能性が出てくる。

・「直感」は「判断」と異なる。

・それが直感であることを表明した上であれば、他者への「根拠」の提示は不要。だが、問題解決の対策を確定する段階で、確定の理由が直感に基づくものであってはならない。

・次の段階の行動へ進むために暫定的で構わないから情報を整理したい時、「直感」は活用できる。


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