講師:蒔苗昌彦
■権威情報に依存し切らないように!
前項にて「判断の主体を明示する」ことの重要性を述べました。また、いくつか前に述べた事例にて「判断の根拠を示す」ことの重要性を述べました。そこで、注意を促したいのは、判断の主体と根拠を示す際に、その判断が貴社の社員によるものにもかかわらず、その道の権威によるものとしてはならない、という点です。
もちろん、その道の権威からの情報は、判断をする上での参考情報となります。しかし、社内の問題解決のプロセスにおいて、その道の権威は判断の主体ではありません。また、判断の根拠が「その道の権威が言ったから」では、そもそも根拠の説明不足です。もし、判断の根拠の説明において「その道の権威」という文言を入れるのであれば、例えば「その道の権威から○○の有用性を示す○○のデータが○○年に正式に公表されていて、そのデータの信憑性が疑われる事実は見当たらないから」などといったような言い回しをするべきです。
たとえその人がどれほど高い権威であろうと、その人は社員ではないのですから、社内の問題解決における判断の責任者になりようがありません。にもかかわらず、「その道の権威が言ったから」との一言で、問題解決についての議論の相手を封じ込めようとする人がいるものです。そういう人は、自分自身の中で、その道の権威から持たされた情報を十分に消化できているか、改めて自己チェックしましょう。そして、「虎の威を借る狐」の諺が示唆する状況に自らが陥っていないか、自己チェックしましょう。
<ポイント>
・判断が貴社の社員によるものなのに、その道の権威によるものとしてはならない。
・その人がどれほど高い権威であろうと、その人は社員ではないのだから、社内の問題解決における判断に対する責任者になりようがない。
・「その道の権威が言ったから」と、問題解決についての議論の相手を封じ込めてはならない。