■作業手順書:書式サンプル「火災対応」

「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方」の補足講座

《目次》

はじめに「当講座にて示す作業手順書の書式サンプルとは」

セクション1「手順書の書式サンプル作成にあたっての諸想定」
1-1「火災を想定した場所」
1-2「書式サンプルが『火災予防』ではなく『火災対応』である理由」
1-3「書式サンプルの対象者想定」
1-4「どこの施設を書式サンプルとしているのか」

セクション2「大規模屋内集客施設における火災対応のポイント」
2-2「あらかじめ定めた職務ごとの対応のみならず、
火災発生時点の偶然の立場も考慮した手順を定める」
2-3「火災規模に関わらず発見したら一番に消防署への通報を行うこととする」
2-4「物品にこだわらずに済むよう十分な保険加入やその他措置を講じておく」
2-5「火災に関する教育を頻繁に行う」

セクション3「火災対応手順書:書式サンプル-1・火災発見者」(火災対応マニュアル)
3-1「簡素にすべき火災発見者の手順/その理由」
3-2「火災発見者の手順のポイント」
3-3「初期消火についての考え方」
3-4「施設の外に出た後の行動についての考え方」

セクション4「火災対応手順書:書式サンプル-2・避難誘導者」(火災対応マニュアル)
4-1「避難誘導者の手順のポイント」
4-2「非常放送の位置づけと避難誘導者の判断」

セクション5「火災対応手順書:書式サンプル-3・施設総責任者」(火災対応マニュアル)
5-1「施設総責任者の手順のポイント」
5-2「補佐をつけることの重要性」
5-3「避難集合場所の選定」
5-4「消防署との連携」

セクション6「火災対応手順書:書式サンプル-4・エリア責任者」(火災対応マニュアル)
6-1「エリア責任者の手順のポイント」
6-2「最終確認の義務」

セクション7「火災対応手順書:書式サンプル-5/6/7・警備隊」(火災対応マニュアル)

セクション8「おわりに」



■はじめに
「当講座にて示す作業手順書の書式サンプルとは?」

当講座は、別の講座「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方」を補足するための講座の一つ。

職務分掌マニュアルの主要構成要素(4大要素)となる「作業手順書」の形式(仕様・書式)について、具体的なイメ-ジがつきやすいように、作業手順書の書式サンプルを示すことが目的である。つまり、「職務分掌マニュアル」という情報媒体について理解を深めるための補足資料の一つとなる。

【注】実際の手順書の書式サンプルが表示されるのは、当講座のセクション3以降です。それまでは解説の記述となり、書式サンプルは表示されません。

別講座「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方」にて定義したように、「職務」は複数の「作業」によって構成され、「作業」とは「一連の行動や動作によって成り立つ小単位の仕事」である。そして、身体を動かす行動・動作のみならず、検討したり・判断したり・企画したりする等の思考の作用であっても「作業」として扱う。

「作業」という言葉から「肉体作業」という言葉を連想する人もいる。が、他に適当な言葉が見当たらないので、一連の行動や動作によって成り立つ小単位の仕事はみな、便宜的に「作業」と呼ぶ。

そして、「作業手順書」とは、作業が成り立つための「一連の行動や動作」を時系列で箇条書きにて言い表したチェックリスト形式の文書とする。

この決め事を前提とすれば、職務を構成するあらゆる仕事について「作業手順書」を作成することが可能、という理屈になる。しかし、実際には、別講座「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方」にて何度も強調したように、組織が作業の方法をあらかじめ規定する場合は必ず作業手順書を作成する義務があるが、そうでない作業に関しては必ずしもその義務はない。

こうした条件設定の「職務分掌マニュアル」を補足する当講座であるゆえ、ここで書式サンプルとして示す作業手順書は、組織が作業の方法をあらかじめ規定する場合を想定したものに的を絞る。つまり、別講座「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方」の言うところの「参考手順書」ではなく「規定手順書」に限る。

本来は、火災対応だけでなく、それ以外の様々な作業手順書の書式サンプルを紹介したいところだ。しかし、私とクラインアントとの間の守秘義務の関係で個々の企業独自の作業手順を書式サンプルにするわけにはいかないことから、特定企業の機密とはならずむしろ広く社会で検討されるべき「火災対応」の作業をまずは題材とする。(いわゆる火災対応マニュアル)

火災は、人間ならば誰もが、自らの身に降りかかることを恐れ・避けようとする深刻な災害であり、かつ、遭遇する可能性がある災害である。結果的に死んだり重傷を負ったりすれば、どのような災害であっても悲惨だから深刻度を比較するつもりはないが、少なくとも私は火災で逃げ惑う人の姿をテレビ報道で目にした経験や、火災現場を直接目撃した経験があり、それがどれだけ恐ろしいものか、脳裏に焼き付いている。それゆえ、私は、作業手順書の書式サンプルの一番に、大規模屋内集客施設の火災対応手順書を取り上げることにした。

なお、あくまでも手順書の書式(形式・仕様)のサンプルとして紹介するという当講座の趣旨を取り違えないために、別講座「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方」を、必ず先に読んで下さい。 この講座をまだ読んでいない人は、以下は読まないで下さい。

講師/著者:蒔苗昌彦

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