問題解決アプローチ001

講師:蒔苗昌彦

「問題」と「建設的課題」の区別をつけよう!

当研修では、直接部門の現場実務の課題を、「建設的課題」と「問題」に区別します。そして、「問題」のほうを研修の題材とします。

ここで言う「建設的課題」とは、現在すでにあるべき基準に達しているものの、それをさらに向上させたい課題のことです。

ここで言う「問題」とは、貴社の製品やサービス、それに伴う業務の質や量などが、本来あるべき”基準”に達していない場合や状態などを指します。いわばネガティブな課題、英語ならば、「problem」「trouble」、少し柔らかくすれば「issue」といったところでしょう。(ちなみに、建設的課題のほうは「constructive task」といったところです)

つまり、当研修においては「建設的課題」は扱わないわけですが、もちろん「建設的課題」は非常に重要であり、積極的に取り組むことによって会社の組織力・営業力・技術力・商品力等を飛躍的に向上させます。当研修の実施の有無にかかわらず、ぜひ「建設的課題」に取り組んで下さい。

では、なぜ、当研修では、「建設的課題」と「問題」を区別した上で前者を取り扱わないのでしょうか?

それは「問題」と「建設的課題」では基本的アプローチが異なるからです。

「問題」は、その問題の元となる原因があり、その問題による悪影響があり、

●「原因を除去する対策」
または
●「その原因と悪影響の関係を遮断する対策」
または
●「悪影響を減少させる対策」

のいずれかが必要です。

一方、「建設的課題」には「原因」や「悪影響」に該当する要素はなく、「原因除去」や「悪影響遮断」「悪影響減少」の対策を必要としていません。

「『建設的課題』だろうと『問題』であろうと、課題には違いないのだから同じ研修にて扱って欲しい」との要請を受けることがよくありますが、当研修においてはあくまで両者を区別し、「問題」に徹します。

つきましては、貴社が研修の題材としたい課題が、「問題」なのか「建設的課題」なのか、まずは判定して下さい。その判定結果は社内で共有し、経営側(社長や管理職)は「建設的課題」と思っているが、製造・サービスの現場社員は「問題」だと思っている(またはその逆)といったような食い違いがないようにして下さい。

こうした見解の相違は多くの企業でしばしば起き、それ自体が、製造・サービスの業務運営の障害となる重大な問題と言えます。だから、こうした見解の相違が起きないよう、日頃から、自社の「課題」について、それが「問題」なのか「建設的課題」なのかを区別し、認識を統一する習慣をつけましょう。


【備考】

「当研修では建設的課題を扱わない」ということをご理解頂いた人から、「では、建設的課題は『誰が?』『どうやって取り組めばよいのか?』」との問い合わせを受けることがあります。

手短かにお答えしますと、、、

・「誰が?」については、もし貴社社員だけでは限界があるようでしたら、コンサルティングファーム、銀行や証券会社系の総合研究所などを加えた上でプロジェクトチームを作り取り組んで下さい。特に外資系のコンサルティングファームならば積極的に相談に乗ってくれることでしょう。

・「どうやって?」については、その課題を特定しない限り具体的な方法は特定できませんが、少なくとも検討の過程で、「マーケティング調査等による情報収集と競合他社製品・サービスの分析による現状把握・動向把握」→「アイデア出しのブレーンストーミング」→ 「絞り込んだアイデアを基にした成功シナリオの仮説をたて」→「モニタリング等による仮説の検証」→「費用対効果の検証」の基本ステップは踏むことになると思います。


【ポイント】

・「建設的課題」と「問題」ではアプローチは根本的に異なる。

・「建設的課題」とは、すでに”基準”に達しているが、さらに向上させたい課題のこと。

・「問題」とは、あるべき”基準”に達していない状態。

・「建設的課題」 or「 問題」の判定結果を社内共有すること。

・「問題」には「原因を除去する対策」「その原因と悪影響の関係を遮断する対策」「悪影響を減少させる対策」が必要。


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