パート2・セクション6「スケジュール表の作成」

職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方
1「基本的な考え方」

「作業項目一覧表」が出来たことによって、「職務を構成する作業項目が1枚の表で把握できる」ようになる。
しかし、各作業項目が、どのようなタイミングで、どれだけの期間・時間を掛けて行われるのかは、「作業項目一覧表」では把握できない。そこで、「作業項目一覧表」の補足として、「スケジュール表」を作成する。

とはいえ、スケジュール表は、どのような職務であっても作成しなければならない、というわけではない。必要がある職務についてのみ、スケジュール表を作成する。※1 ※2

「年度型職務」は、年間計画から半期、四半期、月、週へと落とし込んでいくタイプの職務だ。そのため、スケジュール表を作成したほうが分かりやすいケースを、充分想像し得る。
これに対し「毎日型職務」は、スケジュール表を作成する必要性がない場合・作成したくても職務分掌マニュアル作成の段階では不可能な場合等がほとんど、と想像する。いかがだろうか?


2「年度型職務」

年度型職務のスケジュール表は、年、半期、四半期、月、週それぞれを1枚に独立させて作る。
いずれかの周期で行う作業がない場合は、当然、その周期のスケジュール表も不要となる。

理屈の上では、年度型であっても、「毎日必須、かつ、必ず定時に行なう作業」が多くあり、それを1枚のスケジュール表として表さなければならないような場合はある。
しかし、実際には「毎日必須、かつ、必ず定時に行なわなければならない作業」が多く含まれた「年度型職務」はそもそも少ないと予想する。
もし、そうした職務設定があるならば、その職務に就く人の精神的負荷が相当高いことだろう。年度型職務と毎日型職務を兼務させているも同然だからだ。このような場合は、新たに、アシスタント職務を毎日型職務として設定し、毎日必須の作業はそれらへ移すほうが賢明だ。


3「毎日型職務」

毎日型職務においてスケジュール表※2を作る場合とは「毎日必須、かつ、必ず定時に行なう作業」が多くある場合に限る。そうでない場合は、作業項目一覧表だけで十分で、スケジュール表を作成する必要はない。その作業項目一覧表に記される作業名称の横に括弧( )で実施時刻を記しておくか、規定手順書のページに記載するだけで十分であろう。

ここでいう定時とは、「一日24時間の時刻のうえで定められた時刻」、および、「所定の時間枠の中で定められた時間の経過点」のどちらも意味する。前者は「10:00amに作業Aを行い、11:30amに作業Bを行い...」というように一日24時間の流れの中で、作業を配置する場合である。後者は、たとえば「60分の時間枠の中で、10分経過したら作業Aを行い、15分経過したら作業Bを行い...」というような場合である。

以上、一応は述べてみたものの、毎日型職務は作業項目一覧表に添付するスケジュール表が不要なケースが多くあると予想する。※3 その必要性については、くれぐれも慎重に検討して欲しい。


4「プロジェクトの進捗に応じた調整」

作業項目一覧表が確定する以前にスケジュール表を作成した場合、作業項目一覧表の修正に応じてスケジュール表も修正しなければならなくなる。したがって、作業項目一覧表が確定するのを待って、スケジュール表を作るほうが効率がよい。

作業項目一覧表が確定するのは、作業項目の洗い出しの時点とは限らない。作業手順書を作成する段階で、作業項目の統合や分割等の修正をする可能性は十分ある。だから、スケジュール表作成のステップは、作業項目一覧表作成のステップと作業規定書・参考手順書を作成するステップの間に置いてあるものの、実際には、作業手順書を作成した後のほうがよい場合もあるだろう。

※1:
もしスケジュール表を作った場合には、その表に記載されている期間・時刻等が、規定なのか参考情報なのか、いずれか明示すること。
紙の右肩に「規定」もしくは「参考」と記せばよい。

※2:
ここで言うスケジュール表とは、あくまでも職務分掌マニュアルの作業項目一覧表に添付するスケジュール表のことを指す。
単独で作業当日の時間割・時刻表を作成し、作業関係者に随時配布するようなケースは、該当しない。ただし、例として「資料パート」へ、参考として入れておくことは、推奨する。

※3:
職務分掌マニュアルを作成する段階で、日々の事細かな時間割が確定できる仕事がこの世にあるのか・否か、私には見当がつかないため、左記の予想となった。


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