パート3・セクション3「職務分掌マニュアルが必要な職務/不要な職務」

職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方

当講座では、職務分掌マニュアルを、当然、肯定している。しかし、すべての職務について職務分掌マニュアルを作成すべき、などとは言っていない。必要な職務についてのみ、作成すればよい。

では、どのような職務が職務分掌マニュアルが必要で、どのような職務が職務分掌マニュアル不要なのだろうか? もちろん、具体的に組織を特定しなければ、業務特性や置かれている現状が不明なので、断定はできない。

が、おおよその判断の目安であれば、アトランダムに列挙することはできる。それは次の通り。

1.複数の人間が、同じレベルと質で作業を行う必要がある。
2.他者との連携作業を、短い時間内で正確に行う必要がある。
3.担当する作業に、固有の法的制約がある。
4.安全衛生上の課題がつきまとう。
5.非常時に、すかさず対応手順を確認できる状態にしておくべき作業がある。
6.人事異動に伴う引き継ぎを、短期間で正確に行う必要がある。

職務分掌マニュアルが不要な職務については、上述を逆の表現に書き変えることで、だいたいの目安を示すことができる。
1.複数の人間が、同じレベルと質で作業を行う必要がない。
2.他者との連携作業があったとしても、短い時間内で正確に行う必要はない。
3.担当する作業に、固有の法的制約がない。
4.安全衛生上の課題がつきまとうことはない。
5.非常時に、すかさず対応手順を確認できる状態にしておくべき作業がない。
6.人事異動に伴う引き継ぎを短期間で正確に行う必要がない。

たとえば、旅客機の機長という職務は「必要の目安」の1から5までに該当すると想像する。原子力発電所の運転監視をする職務等も同様だと想像する。

逆に、たとえばグラフィックデザインをクリエートする職務は、不要の目安の、少なくとも2から5に該当すると思うがいかがだろうか? 広告代理店の企画営業という職務も同様だと思う。

では、株式を公開している会社の代表取締役社長も一つの職務であるが、どうだろう? 「組織の最高権限者なのだから、職務分掌マニュアル不要」との意見もあろう。だが、冷静に上述を見て頂ければ、「必要の目安」の1にこそ該当せず、2と4は業種次第だが、3、5、6には該当するのではなかろうか?

なお、職務分掌マニュアルの要・不要と、職務分掌マニュアルの情報量の大小は、関係性がない。つまり、冊子化としてみたら薄っぺらな職務分掌マニュアルであっても、その職務にとってそれは必要というケースがあり得る。だから、「作ると決めた以上は、なるべくページ数を増やそう」などとは考えないように! 必要な情報に絞られた職務分掌マニュアルこそが、使いやすい職務分掌マニュアルなのだ。そして、それは「改訂管理」が容易なマニュアルでもあるのである。

<全部おわり> お疲れさまでした!


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