問題解決アプローチ021

講師:蒔苗昌彦

伝聞情報の場合はその旨を明示しよう!

別項でも述べたように、或る問題に関する情報や判断が、事実確認した上での情報や判断なのか、それとも推理に基づくものなのか、その問題の報告者・提起者は明示しなければなりません。また、問題の悪影響を述べる際も、その悪影響が事実確認がされているものなのか、それとも推理によるものか、明示しなければなりません。これに加えての注意点となりますが、もし或る情報が伝聞情報である場合は、その旨を明示しましょう。

この場合、情報伝達形式は、「誰々からの情報によれば、○○という出来事があったとのこと」となります。が、もしその情報が元々は伝聞情報であったとしても、伝聞後、その出来事について既に自ら事実確認済みであるならば、「(私が)事実を確認したが、○○という出来事があった」という形式とし、「誰々からの情報によれば」と「とのこと」という文言は不要です。

この観点からは、当項「伝聞情報の場合はその旨を明示する」は、別項「事実確認済みなのか推理なのか明示する」の説明の中で述べることでもよいかもしれません。しかし、ここであえて独立した項目として「伝聞情報の場合はその旨を明示する」を設けました。

そのわけは、、、

伝聞情報であるにもかかわらず、あたかも事実確認済み、もしくは、自らの判断についての情報かのように言う人がいるから、です。

こうした情報伝達の仕方は、問題解決の過程においてのみならず、通常の業務においても決してあってはなりません。もし、恒常的にこうした情報伝達(伝聞情報にかかわらずそうでない情報のようにして伝達)が社内やお客様、協力企業に対して行なわれているとすれば、そうした状態自体が大問題であり、何かしら別の問題を引き起こす原因になるでしょう。

もし上述のような情報伝達が貴社内で恒常的に行われるならば、その情報伝達の仕方を徹底的に排除すれば、当研修を受講するまでもなく、当研修の題材としようとした「問題」も自然に解決するかもしれません。

専門情報・専門知識・専門技術が十分揃っているにもかかわらず、問題解決行動が停滞しているのは、多くの場合、コミュニケーションの一環である情報伝達が正しく行われていない場合で、コミュニケーションが正しく行われていない狀態の代表格が、上述のような悪しき情報伝達なのです。

ですので、上述の貴社内で恒常的に行われているとしたら、当研修の受講を依頼する以前の課題として、ただちにその体質を改善しましょう。

なお、上述の例の「  」内の言い回しは便宜的に簡略化したもので、実際には、いわゆる5W1Hの形式で述べられなければなりません。5W1Hの形式についての注意点は、次の項で述べます。


<ポイント>

・伝聞情報であるにもかかわらず、あたかも事実確認済みか自らの判断についての情報かのように言う人がいるので、要注意。

・こうした悪しき情報伝達は、問題解決の過程においてのみならず、通常の業務においても決してしてはならない。

・恒常的にこうした悪しき情報伝達が社内やお客様、協力企業等に対して行なわれているとすれば、そうした状態自体が大問題であり、解消すべき。


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