パート1・セクション1「当講座が対象とするマニュアルとは」

職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方

マニュアルという言葉の意味づけ・解釈は、世間一般において、だいたい同じのように見える※1。が、具体的に突き詰めていくと、意外と多様である。表現の自由は保障されているわけだから、私としても多様な解釈を否定しない。

しかし、当講座においては、マニュアルは「法人や国家機関・自治体等の組織が、自らの業務を実現するために用いる、社員・職員向けマニュアル」に限定する。つまり業務用かつ自家用のマニュアルだ。理由は後述するが、さらには職務遂行に的を絞ったマニュアルのことである。名付けて「職務分掌マニュアル」と言う。この制約に基づき、具体的な職務内容を記述する職務記述書「職務分掌マニュアルのあり方・作り方・使い方を示すのが当講座の趣旨である。A4サイズにて80ページほどの文字量となるが、是非最後までお読み頂きたい。

なお、当講座が「職務分掌マニュアル」を対象としているからと言って、それ以外のマニュアルの意義を否定しているわけではない。くれぐれも誤解なきよう。内容さえ適切であれば、それぞれ意義がある。

ちなみに、当講座が対象としていないマニュアルは※2、たとえば次の通り。

・機器やコンピュータソフトウエアのユーザー等へ、操作方法等を伝えるためのマニュアル。
・国民や住民等へ、何かしらの行政手続きの方法や、緊急時の対応方法等を伝えるためのマニュアル。
・マニュアルの名称がついた市販図書類。

これらの作成方法に関しては、マニュアル製作を請け負う編集プロダクションや出版社等にノウハウが蓄積されているであろうから、そちらへ相談して下さい。


※1:「マニュアル」という言葉の意味や解釈は、「何かしらの方法を伝えるための冊子」という意味・解釈で一致している模様である。しかし、組織運営上・業務運営上は、ただ「マニュアル」と言っただけでは、そこに記載されている「方法」が、組織としての取り決めとしての「方法」なのか否かが、不明である。これでは責任の所在が明らかとならない。これに対して、当講座が述べる「職務分掌マニュアル」は、職務の責任と権限を明確する。その具体的な方法は、パート2のセクション7「委任判定」にて述べる。

※2:当講座が対象としないマニュアル類は、書式についてもデザインについても、もちろん内容についても、一切制約はない。作成者の目的や編集センスに依存する。これに対して職務分掌マニュアルは用途を思い切り絞り込むため、構成・書式はかなり制約され、美的なデザインは一切施さない。それによって、改訂が容易になり、継続的な活用が可能となる。


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